営業の種類について

営業には対象顧客別に個人営業と法人営業があるのは見てきましたが、同じ「営業」と言われている職種の中にも実に様々な種類や手法があります。「営業」という一括りでは語れないため今回はさらに細かく営業の種類についてみていきたいと思います。営業の分類は以下の6つに分けられます。

  1. 顧客
  2. 商材
  3. 営業形態
  4. 目的
  5. 手法
  6. 特殊な営業

顧客

前回ご紹介しましたが振り返りも兼ねて整理します。

法人営業

法人(企業)に対して営業を行う営業でBtoB(ビートゥービー)営業とも呼ばれます。BtoBは「Business to Business」の頭文字をとったものです。広告営業もBtoB営業です。広告を行う会社が「広告を出稿しませんか?」とクライアントへ営業をかけるような形があげられます。

個人営業

個人の顧客に対して営業を行う営業で、BtoC(ビートゥーシー)営業とも呼ばれます。BtoCとは、「Business to Consumer」ですが、相手が1人とは限らず、一般家庭も個人の顧客に当たります。法人以外という意味です。

商材

有形商材

「形があるもの=商品」で不動産や自動車などが有形商材に当たります。形があるものなので説明がしやすく、顧客を納得させやすいです。しかし、顧客に合わせてカスタマイズできないため、販売できる顧客が限られます。商品を必要としている顧客を見つけるために、行動し続けられる人が向いています。

無形商材

保険やオンラインシステムなどの、形がないサービスを販売します。目に見えないため、イメージを伝えるのが難しいです。

その分、それぞれの顧客に適したサービスをカスタマイズできるメリットもあります。顧客に合わせてサービスのよさをアピールする能力が必要です。

営業形態

メーカー営業

自社製品を作っているメーカーで自社製品を売り込む営業がメーカー営業です。多くのメーカーはBtoBビジネスであり、営業相手はほとんどが法人でルート営業です。

ルート営業とは、自社製品を納めている他メーカーや企業、小売店、卸問屋などを回り、継続して契約を取る営業スタイルです。その他、顧客の要望をヒアリングして、製品の開発段階から関わったり、アフターケアを行ったりすることもあります。

代理店営業

営業代理店とは、他社の商品を宣伝・販売する店のこと。たとえば、保険会社の営業マンとして、「ほけんの窓口」のような保険代理店に営業する形です。保険代理店は、「どの保険を選んだらいいかわからない」という顧客に対して、おすすめの保険を紹介する店です。

代理店の多くは通常、複数の企業の商品を扱っています。ですから、代理店営業職は代理店側との関係を密にし、販促ツールや商品ノウハウの提供などを行って、自社商品を多く販売してもらえるようにしなければなりません。

目的

新規営業

新しい顧客を見つけていくことを目的とした営業です。新規顧客に購入してもらうことで売上貢献を目指します。

新規営業の代表的な手法として、以下3つがあります。

  1. テレアポ:電話で訪問営業をしてもいいか許可をもらう
  2. 飛び込み営業:直接訪問して営業していく
  3. レター営業:手紙を送付する営業
  4. お問い合わせフォーム投稿:企業のお問い合わせフォームを使った営業。ベンチャー企業などでは意思決定者も見ている可能性が高く有効とされている

新しい顧客は、商品やサービスについて知りませんし、多くの人は欲しいと感じてもいません。新規営業とはアウトバウンド営業とも言われ、基本的には営業マンから顧客に対して働きかけていく営業なので顧客は商品に対して興味をもっていませんので、相手の興味をひく働きかけをするスキルが必要です。一般的なイメージがある営業はこの営業ではないでしょうか?

ルート営業

ルート営業は、すでにつながりのある顧客に対して営業をしていく方法です。既に取引をしている企業や個人に対して、さらなる営業をかけるのがルート営業(ルートセールス)です。悪い意味では御用聞き営業とも呼ばれていたりもしますが、納品の際に新商品の情報を提供したり、他のニーズや課題がないか確認したりすることによって新たな契約につなげていきます。顧客と信頼関係を高めて、長期的に関わっていきます。その信頼をベースに新規顧客を紹介してもらえる場合もあるため、自社都合で提案するのではなくクライアントの信頼関係を損ねない点が重要です。

手法

訪問営業

顧客先を訪問して営業活動を行うのが、訪問営業です。営業とは、いかに数多く訪問するかが勝負とも言われるくらい、営業職としての基本的なスタイルとなっています。一般的には、事前にアポイントを入れて訪問の約束を取り付け、具体的なヒアリングや提案を行うことになります。

アグレッシブな営業スタイルとしてアポなしで飛び込み営業をするというような話を聞くことがありますが、この飛び込み営業とはアポなしで訪問営業をすることです。飛び込み営業のメリットは、その場で直接担当者との関係性を築くことができるという点です。うまく担当者に会えれば、即座に顧客のニーズをヒアリングし、商談に進むことも可能です。訪問先の企業との相性が良ければ、オンラインでアプローチするより、効率的に成約につなげることもできるでしょう。

もちろん、相手の都合を事前に確認しないで行うため、タイミングによっては迷惑がられることがありますが、テレアポでは繋がらない担当者に繋がることがありその場で商談までスムーズに進める点は他の手法より優れていると言えます。この種類の営業が得意な営業も多く、メディア企業や広告代理店などはこのスタイルで攻略がなされています。営業の顔や熱量も伝わりやすく成功体験を経験している営業もいますが、コロナ禍で出社が減ってしまった現状ではあまり有効ではなくなっています。

テレアポ営業

テレアポ営業とは、まず顧客とアポイントを取り付けるためだけの営業です。商談で営業活動を行うためのアポ獲得が目的です。あくまでも顧客と会う約束を取り付けることなので、商品の説明や提案、売り込みなどはあまり行わず、「商談してもっと詳しく話を聞いてみたい」と思ってもらえるよう、魅力的なトークスクリプトで具体的で簡潔に商品やサービスのメリットを説明できるようにしておくことがコツになります。営業代行会社、アウトソーシングされることも非常に多いです。

テレコール営業

テレコール営業とは、電話でのやり取りのみでクロージング(受注)までを行う営業方法のことです。商材によっては訪問の必要がない、またまずはトライアル無料の期間がある場合にも有効です。営業としては訪問営業とは違い、相手の顔が見えないためその場の雰囲気をつかみながら営業活動ができません。そのため、スクリプト作りが非常に重要になります。相手のニーズや欲求を引き出しながら、商品やサービスへの期待を高めて、成約に結びつけられるような台本にする必要があります。

インサイドセールス

インサイドセールスとは内勤営業ともいわれ、電話やメール、Web会議システムなどのコミュニケーションツール使い、顧客と直接対面する以外の方法で行う営業手法のことです。従来型の対面での訪問営業が「フィールドセールス」と呼ばれているのに対して、こう呼ばれています。営業職は外勤が基本ですが、インサイドセールスは顧客と直接会うことがなく、時間や場所にしばられない営業活動ができるため、「The Model(ザ・モデル)」が認知されてから導入する企業も増えてきています。今やインサイドセールスに携わる営業職の数は、訪問営業のそれを抜いたともいわれています。

反響営業

反響営業とは、インターネット、テレビ、ラジオ、新聞やダイレクトメールなどのメディアを通して広告宣伝をし、それに興味を抱いて問い合わせをしてきた人を見込み客とみなす営業方法です。商品やサービスのターゲットを事前にリサーチして、広告戦略と連動させると高い効果が期待できます。ターゲットを絞ってから営業をするので、他の営業方法に比べて成約までの営業活動を効率化できる点がメリットです。

受付営業

受付で顧客からの購入依頼などに対応する営業方法が受付営業です。購入まで取りこぼしなく結びつけることができるよう、きっちりとクロージングをする必要があります。

特殊な営業

海外営業

特殊な営業として海外営業は、メーカーなどの企業で海外の企業を顧客とし、その企業や販売代理店とやりとりをする仕事です。海外とのやりとりがメインで国内に勤務しながら海外の顧客とやり取りをする場合と現地に赴任して顧客と直接営業をする場合があります。海外営業では語学力はもちろん、国ごとに異なる文化や習慣、ビジネススタイルなどに対応していくスキルが求められます。

MR

MRとはMedical Representativeの頭文字を取った略称で、日本語では「医薬情報担当者」と呼ばれています。製薬会社などに属しており、医師や薬剤師などの医療関係者に対し、自社の薬に関する情報を提供する仕事です。患者さんの治療に最適な薬として医師に自社の薬を選んでもらい、売上につなげていくのがMRの役割です。医師との関係構築が非常に重要になります。

最後に

上記の分類は基礎的な分類なので実際の営業は複数の種類に属しています。そのため実際の営業は複数の組み合わせになります。営業の手法を整理をするためにも役立ちます。現状の営業がどの分類に属しているのか、世の中にはどんな営業があるのか種類や手法を見ていくのもいいと思います。次回は広告業界の営業について書いていきたいと思います。